40代のAさんから、こんなご相談をいただきました。

「駅まで10分ほど歩くだけで、夕方にはふくらはぎがパンパンになるんです。買い物で少し歩き回ると、太ももまでだるくなって。

運動不足かと思って歩く時間を増やしてみたのに、疲れが取れるどころか、翌日まで足が重いままで…。

年齢のせいだから、仕方ないですよね?」

こうしたご相談は、実は少なくありません。

歩くと足がすごく疲れる。少し歩いただけで、ふくらはぎや太ももがだるくなる。足が重くて、前に出にくい。

そんな経験はありませんか?

足を前に出そうとがんばるほど、膝下で踏ん張り、足指の付け根で地面を蹴って進む歩き方になりやすく、その為、足の疲れや、むくみ、冷えにつながります。

そのとき、足を引き上げる役目を担う「大腰筋(だいようきん)」が硬くなっている(うまく使えてない)ことが少なくありません。

大腰筋とは?

大腰筋は、腸腰筋群の一つで、みぞおちの奥から股関節(小転子)につながるインナーマッスルです。足を前に引き上げるときに働きます。ここが硬くなると、骨盤が前に傾きやすくなり、体重がつま先側へ流れがちになります。その結果、足が前に出にくくなります。

「ゆるかかと歩き」では、かかとに重心を残したまま、足をスッと前に出していきます。大腰筋が使いやすい状態は、その土台になります。

お風呂上がりや、歩き出す前に行うのがおすすめです。痛みのない範囲で、心地よく伸びる程度で試してみてください。

1. 股関節前ばしストレッチ(大腰筋をじっくり伸ばす)

大腰筋を最も伸ばしやすい基本のストレッチです。① 床に片膝立ちになります。痛い場合は、膝の下にタオルを敷いてください。
② 前に出した足の膝をゆっくり曲げながら、骨盤ごと前へスライドさせていきます。
③ 後ろに残した足の「太ももの付け根(コマネチライン)の奥」が伸びているのを感じます。
④ 深呼吸をしながら、20〜30秒キープします。

ポイント
・上体は倒さず、まっすぐ起こしたままにします。倒すと大腰筋が伸びません。
・動かすのは骨盤だけです。腰を反らせすぎないように気をつけてください。
・左右交互に、2〜3回ずつ行います。

 

2. 壁を使った大腰筋の「目覚まし」

伸ばすだけでなく、「これから歩くよ」と大腰筋に知らせる動きです。歩く前に行うと、足が上がりやすくなります。① 壁の横に立ち、片手を壁について体を安定させます。
② 壁と反対側の足を、膝を曲げたまま、胸に近づけるように高く引き上げます。
③ 引き上げた状態で、3〜5秒キープします。
④ ゆっくり下ろします。左右5回ずつ行います。

ポイント
・背中が丸まらないように注意してください。
・上体を骨盤の真上に乗せたまま、お腹の奥の力で足を「引き上げる」感覚をつかみます。

 

3. 歩く前の「大腰筋スイッチ」

ストレッチではありませんが、歩く前の一瞬でできる、とても簡単な習慣です。① 歩き出す前に、みぞおち(肋骨の真ん中あたり)を軽くポンポンと叩く、または意識を向けます。
② 「足は股関節からではなく、みぞおちから生えている」とイメージして、一歩目を踏み出します。

大腰筋は、みぞおちの裏側から始まっています。このイメージを持つだけで、ふくらはぎで蹴り出す動きが減り、足を引き上げて歩きやすくなります。

意識し続けることが、いちばんの近道

ストレッチで体が楽になっても、歩き方のクセはすぐには変わりません。

ゆるかかと歩きは、基本的に「意識し続けること」が大切です。

ただ、歩いている間ずっと意識し続けるのは、誰にとっても簡単なことではありません。ですから、完璧を目指さなくて大丈夫です。

歩き方が乱れたと気づいたら、そのたびに整える。この「気づく回数」が増えるほど、整った歩き方でいられる時間が、少しずつ増えていきます。

出来れば毎日、鏡の前で、もしくは街中でガラスなど映る所があれば、自分が歩く姿を横から見てみてください。足が前に出にくい日の歩き方と、出やすい日の歩き方の違いが、自分の目で見えてきます。

かかと重心については、こちらで詳しくお伝えしています。
かかと重心とは?正しい重心の置き方と体の変化

無理なく行うための注意点

・痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。
・腰や股関節に痛みが出る場合は、無理に続けず、専門家に相談してください。
・バランスが取りにくい場合は、壁や椅子につかまって行ってください。

まとめ

・大腰筋が硬いと、足が前に出にくくなる
・股関節前ばしストレッチで、付け根の奥をじっくり伸ばす
・壁を使った引き上げで、歩く前に大腰筋を目覚めさせる
・みぞおちを意識して、ふくらはぎで蹴らない一歩目を出す

やってみて、「太ももの付け根の奥が伸びる感覚」はつかめましたか?

ストレッチをしても足が前に出にくい、歩くとすぐ疲れてしまう。そんな方は、足と姿勢の使い方そのものを見直す時期かもしれません。

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