歩いたり、階段を上ったりするときに、股関節の外側で「ポキッ」「コキッ」と音が鳴る。

痛みはない。だから今のところ、特に気にせず過ごしている——という方も多いのではないでしょうか。

これは「弾発股(だんぱつこ)」と呼ばれる状態です。股関節の外側、大転子という骨の出っ張りの上を、腸脛靭帯という帯状の組織が動くたびに引っかかって弾かれることで、あの音が鳴ります。

弾発股のタイプは3種類

弾発股には音が鳴る場所によっていくつかタイプがありますが、今回は最も多く見られる、外側で鳴るタイプについてお話しします。

「痛くないから大丈夫」で本当に正しいのか

痛みがない以上、今この瞬間に何か深刻なことが起きているわけではありません。
それは事実ですし、慌てる必要もありません。

ただ、少し立ち止まって考えてみてください。
その音は、毎日何百回、何千回と歩くたびに、同じ場所・同じ組織が繰り返しこすれているサインでもあります。

一度や二度なら体は問題なく受け流します。けれど、それが日々積み重なっていくとしたら・・・
同じ場所への負担は、少しずつ組織に蓄積していきます。今は無症状でも、その蓄積が続いた先で、腸脛靭帯の炎症や、大転子まわりの痛みとして表面化してくることは、決して珍しくありません。

「今すぐのリスク」ではないけれど、「放っておいていいもの」でもない。そのくらいの温度感で捉えていただくのが、一番実態に近いと思います。

なぜ、その組織は引っかかり続けるのか

弾発股の主役になっているのは、股関節の外側を骨盤から大転子の方向へ伸びる大腿筋膜張筋という筋肉と、そこから続く腸脛靭帯です。

この筋肉は、片脚立ちになったときに骨盤を横に倒れないよう支える役割を持っています。
歩行というのは、実は一歩ごとに片脚立ちを繰り返している動作です。

本来この役割は、お尻の筋肉が主に担うべきものです。ですが、歩き方の癖によってお尻の筋肉がうまく働かず、その分を大腿筋膜張筋が肩代わりし続けている場合、この筋肉は歩くたびに休む間もなく緊張し続けることになります。

結果として、そこから伸びる腸脛靭帯も常に張った状態になり、大転子の上で引っかかりやすい状態が出来上がってしまうのです。

股関節の問題ではなく、歩き方の問題かもしれない

ここで見落とされがちなのが、「なぜお尻の筋肉がうまく働かないのか」というさらに一段階手前の話です。

多くの場合、それは足元から始まっています。
歩くときに足の裏が内側に倒れ込みすぎていたり、体重を乗せる位置が毎回同じ側に偏っていたりすると、脚全体のバランスが崩れ、骨盤を支える筋肉がうまく仕事をできない状態になります。
そのしわ寄せが、大腿筋膜張筋に集中してしまうのです。

つまり、股関節から聞こえてくる音は、実は足元の使い方の乱れが形を変えて現れているだけ、ということが少なくありません。

実際、当院にはある20代女性の方が、扁平足を始めとした外反母趾や内反小趾、X脚、足の太さ、むくみ、冷えといった足元の悩みで来院されました。
歩き方を整えていく指導を進めていく中で、ふと股関節から音が鳴ることに気づきました。
ご本人にとっては当たり前になっていて、特に気にしたこともなかったそうです。
不思議に思い詳しく確認していくと、これが弾発股だったのです。

年齢が若いから関係ない、ということはありません。
むしろ足元の崩れは、年齢に関わらず、気づかないうちにいくつもの症状として同時に体に現れていることの方が多いのです。
弾発股の音は、その中のひとつのサインに過ぎませんでした。

まずは、自分の足の状態を「知る」ことから

とはいえ、いきなり「かかとから着地しましょう」「足の内側に注意しましょう」と意識して歩くことをおすすめしているわけではありません。
歩き方を頭で管理しようとすればするほど、かえって不自然な動きになってしまうことがほとんどだからです。

まず大切なのは、自分の足の状態が今どうなっているのかを、客観的に「見る」機会を持つことです。
鏡の前を歩いてみる、あるいは動画に撮って確認してみる。そうして初めて、自分では気づいていなかった癖に気づくことができます。

弾発股のあの音は、今の体からの小さなサインです。
痛みがないうちに、その音の意味を知っておくことは、決して無駄にはなりません。

自分では気づけない部分を、一度客観的に確認してみませんか

鏡や動画で自分の歩き方を見てみても、実際にどこがどう崩れているのか、そしてそれが弾発股とどうつながっているのかを自分だけで判断するのは簡単ではありません。

金沢フットケアでは、その音の背景にある歩き方や体重のかけ方まで含めて、今の状態をしっかり見るところから始めています。
痛みが出てからではなく、まだ違和感の段階だからこそ、確認しておく意味があります。

音だけでなく、すでに違和感や軽い痛みとして出てきている方も少なくありません。
自己判断で様子を見続ける前に、一度しっかり状態を見てもらうという選択肢もあります。
まずはトライアルで、ご自身の状態を確認してみませんか。

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